2017年10月25日水曜日

神戸で臓器移植についての市民公開講座が開かれました

台風21号が近畿地方に接近するなかの22日(日曜日)は衆議院選挙と神戸市長選挙とも重なりましたが、予定通り三宮にて臓器移植市民公開講座を行いました。夕方には交通機関の間引き運転も報道されていましたが、70人を超える沢山の方に集まってもらい、予定通り開催できました。日本移植学会理事長の東京女子大教授(肝臓移植)の江川裕人教授もご多忙の中駆けつけてくれましたし、神戸大学の泌尿器科の石村武志先生、そして移植を受けた患者さんにもご協力頂きました。3名の講演の後、総合討論では神戸大学腎臓内科の吉川美喜子先生と兵庫県ドナーコーデイネ-ターの今村友紀さんの司会で、参加者からの質問もあり有意義な意見交換が出来ました。また、兵庫県の行政の方にもご参加頂きました。

参加の皆さんは殆どが臓器移植に関係する方々(移植を受けた方、ドナー家族の方など)のようで、一般の方々の参加は少なかったのではと思われます。天候や選挙などが影響したのかも知れませんが、何時ものことかと思っています。しかし、神戸新聞の記者さんも選挙で忙しい中取材に来られていましたので、何らかの報道があるのでは期待しています。

江川移植学会理事長には我が国の臓器移植の抱える諸問題とそれに対する学会の取り組みを熱く語ってもらいました。人口百万に当たりの年間の臓器提供数が、欧米やお隣の韓国では15-25例というなかで0.7(1以下)という我が国の現状はまさに後進国どころか未開発国のようなものです。その背景には臓器提供を支える仕組みの不備が大きいとのお話しでした。国もいろいろな施策を講じていますが、まだまだ歯がゆい感じがします。

私の話しも、脳死移植しかない心臓移植では補助人工心臓の進歩のなかでも多くの方が希望が叶えられずに亡くなっていることや、小さな子どもさんが海外に多額の募金でもって出かけている現状も紹介しました。講演中に会場や皆さんの携帯のアラームが一斉に鳴り出しびっくりしました。避難勧告だったようですが、何とかかその後2時間ほど、参加の皆さんには我慢して頂きました。

纏めとして、折角の機会(法制定後20)でしたので、社会へのメッセージとして、「兵庫宣言」という格好で発表させて頂きました。こういう共通の目標をしっかり社会と共有することが大事と思います。また、提供施設の負担軽減は大事で、最後に提供施設の方々のご努力に感謝しつつ、そのための施策の実行を行政に願いすると言う趣旨で、院内ドナーコーデイネ-ターとは直接触れていませんが、最後に纏めてあります。



さて、最後はかねてから懸案の(私にとって)、移植を受けた方と提供者の情報が相互に繋がらない様にするということについてです。移植者とドナー家族との面会は、という趣旨で少し意見が出ました。心臓移植を受けた方からは、直接おお会いしたり情報が来ると言うことは、自分の心の持ち方として、ない方がいいとの意見でした。これはそうだと思いますが、お互いに直接の情報が伝わる云々と言うより、そういう縛りでもって移植を受けた方やドナー家族が社会に出にくくしているのではないか、と言う視点での議論が残っていると思っています。これはガイドライン違反とはならない話しであると思うからです。
会場にはドナー家族の方も来られていて、総合討論の最後にご意見を述べて頂きました。臓器提供が進まない社会の仕組みや行政のスタンスへの厳しいご意見でした。ドナーファミリーの会も近々ありますが、その方々のご意見を社会はもっと共有すべきと思います。神戸宣言にある、社会が共有する、と言うことの大事さを改めて感じました。


今月はいろいろな場面で法制定20周年の記念イベントが行われましたが、これが一時の取り組みではなく、継続して行われることが大事であることを関係者やマスメデイアに理解して欲しいと思いながら帰途に着きましたが、もう周りは暴風圏内でした。

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